日本財団 図書館


 

嗜好:喫煙しない、飲酒つき合い程度。
生育歴:幼児期から小学校まで両親が商売で忙しく、祖母に育てられた。体重は小学6年の時70kg。中学から高校入学時までクラブ活動で柔道をし、70kgを維持、高校に入学して柔道をやめ半年で90kgに上昇し、専門学校の卒業時は100kgに増加した。
食行動:どか食べ、不規則な食事、二回食、代理食べ
環境:会社員、仕事内容は現場に車で出張してコンピュータの設置(軽労作)、社内ではプログラマーの仕事で消費エネルギーは少ない。今回は会社の上司など周囲が減量に協力的で受診継続を勧めた。
2.現病歴
職場健診で体重は第1回指導(1990年7月)21歳で108kgから100kgに減量、第2回指導(1994年8月)25歳で111kgから107kgに減量、第3回指導(1996年8月)27歳で108kgから96kgに減量、3回とも栄養指導し短期間で減量した。その結果検査所見は改善し指導は終了した。
3.現症
身長:167cm、体重:108kg、BMI:38.7kg/?、
ウェスト:103cm、ヒップ:110cm、W/H比:0.94、
体脂肪率:39%、血圧:176/108mmHg、身体的特別異常所見はない。
検査所見:HbAlc:7.0%、TC:304mg/dl、TG:445mg/dl、GOT:46IU/l、GPT:94IU/l、γ−GTP:102IU/l、UA:9.0mg/dl。
4.プロブレム
#1過去3回の減量指導
#2リバウンドの繰り返し
#3本人もリバウンドしたくない
#4短期間なら実行できる性格
#5小児肥満で脂肪細胞数が多い
#6遺伝素因(母、弟、肥満)
#7監視されないと痩せられない
#8生育歴や生活習慣に問題
#9食行動に問題
5.初期計画
1)3か月で12kg減量
2)検査所見の改善
3)リバウンドさせない
6.治療経過
第1回:1996年9月2日
S:#1痩せたい
#2肥満の原因は?ストレスで食べる、?夜遅く食べる、?大食い
O:#1体重108kg
#2摂取エネルギー3000kcal
#3夜ふかし型、二回食タイプ
A:本例では、3か月の減量目標を立て、指示エネルギー(糖尿病治療食)、1日1万歩の運動療法などを設定する通常の減量指導をあえて行わず、体重記録用紙を渡すのみにし、減量目標も食事制限も自主性にまかせた。それは過去の減量指導によりマイナスイメージを食事制限から受けていると察したためである。よって本人の継続可能な条件として、無理強いしないよう配慮した。
#4初期計画は減量経験者に対する治療者サイドのプランであった。
#5痩せたいか本人の意思を確認した。指導を受けないと痩せられないと自覚し、指導を希望した。
#6上司は理解してくれている(勤務時間中に来る)。
P:#12週間ごとに面接指導を行う。休まずに来る。
#2体重記録表のみ渡す。減量目標も食事エネルギーも本人に任せた。
第2回:1996年9月17日
S:#1体重99kg、9?減量したと嬉しい表情

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION